テクノロジーと政治

VWの排ガス不正問題、CEOが辞任し、いろんな人がいろんなことを言って百家争鳴といった様相を呈している。気になったものをいくつかピックアップしてみた。

⇒英紙FT。EUの仲間だし、基本VW擁護のスタンス。「みんなそうでしょ」みたいな身も蓋もないことが延々と書いてある。
群集心理はたちまち広がる。X社はY社が試験結果を偽りながら当局に罰せられていないことを知っていて、同じことをしなければ競争できないと思うに至る。
「群集心理」って、巨大企業の責任ある立場の人たちにあてはめて良い言葉じゃないよなあ。

⇒米ブルームバーグ。タイトルを見ての通り、EUの規制当局と政治家の責任に言及。にべもない。むしろアオってます。

このソフトを作ったドイツの自動車部品メーカー「ボッシュ」が、2007年にフォルクスワーゲンに対し、ソフトはあくまで開発段階で使用するもので、販売される車両に搭載するのは違法だと書面で警告していたと伝えました。
ただ、これについて、ボッシュ側は守秘義務を理由に取材を拒否しているということです。
ボッシュはこの件から逃れようとしている。でも「ソフトはあくまで開発段階で使用するもので、販売される車両に搭載するのは違法」って、開発段階で検査逃れに使ったのがそもそもダメなんであって、全然言い訳になってないと思うけど。この情報を(多分)リークしておきながら、守秘義務を盾に取材拒否てのもどうかと思う。にもかかわらず他のメディアも「ボッシュはちゃんと言ってたのにね〜」的な反応でこれ以上突っ込む気配がない。
得意先はVW以外にもたくさんあるし、彼らの力もあるから、実際逃げ切れるだろう。

VWの中の人達まで、この件から逃れようとしているのだろうか。確かに現場としてはエスカレーションした以上、上位者の意思決定に従う他ないけど、知っててスルーした責任てのも普通はある。こういうのを見ると、VWが組織として弱くなっていたのだと感じる。良いクルマを作っていたはずなのになあ。

⇒出た、真打ち登場。いつコメントするのかと思っていたけど、まあ予想通りの発言内容。NewsPicksに「研究開発~廃棄まで、製品ライフサイクル全体で話せえよ」みたいな至極まっとうなコメントがあって、個人的には同意。

こうして並べてみると、イーロン・マスクのコメントだけでなく、上記記事はみな「誰かの利益」を代弁しているように見える。そういう意味じゃ全てがポジショントーク

習近平訪米
ちなみに「百家争鳴」って元々中国共産党のスローガンだったって知ってました?そういえば、習近平国家主席が訪米中ということで、下記のニュースが流れた。

中国のエッジ利用者には百度の検索サイトをホームページとして表示する。百度は6億人を超える利用者に対し、ウィンドウズ10へのアップグレードを促す仕組みを導入する。
サトヤ・ナデラCEOになってからのマイクロソフトの打ち手はオープンで新鮮味があり、興味を引くものが多かったけどこれはちょっと興醒めというか、、、Googleが中国から締め出されているうちに、Edgeをデファクトにしておきたかったのだろうか。そんなことしなくても、Chromeよりサクサク動くだけでたくさんのユーザーが戻ってくるのに。習近平の寿司折程度の外交成果にはなったかもしれないけど、せっかくIEのしがらみから離れることができた新ブラウザに、さっそく「親のコネで入社」的な色がついてしまった気がして残念。

テクノロジーと政治って食いあわせがわるいというか、なぜかタッグを組むとテクノロジー側の努力が緩むような気がする。そもそもVWの販売台数が世界一って、ちょっと前には考えられなかった話。相当EUの政治的思惑が働いた結果だったのかもしれない。