藤井と江尻


同い年の藤井と江尻が揃ってトライアウトを受けた。この二人の縁は交わっているようですれ違っていて、おもしろい。

高校時代は伊予の怪腕と進学校のイケメンエース。1年夏からプロ注目の存在でAAA日本代表にも選ばれた藤井に対し、江尻は中央球界では目立った存在ではなかったはずだ。二人の接点もなかっただろう。大学で同じ早稲田に進んだが、江尻が2年浪人したため一緒だったのは2年間だけ。微妙な「ズレ」が仕込まれたのはここからだ。
プロは藤井が当初ヤクルト、江尻が日ハムとリーグも場所も離れたものの、藤井がトレードで日ハムに来て再びチームメートに。ところが藤井は2シーズン在籍しただけでFAで巨人に行き別々に。
その後江尻がトレードで同じセリーグの横浜へ。すると数年後に藤井がFAの人的補償で横浜に来てまたチームメートに。しかし今度は江尻がソフトバンクにトレードされ僅か1シーズンで別々に。そして今年、同じタイミングで戦力外を言い渡され、トライアウトのグラウンドで再び邂逅したわけだ。

トレードは本人達の意思ではないだろうが、それにしてもくっついたり離れたり忙しい。この二人に、早稲田でちょうど学年的に挟まれていた鎌田(元ヤクルト 最後は台湾で大活躍した)を交えた3人の野球人生を追いかけたら、短編小説でも出来てしまいそうだ。

トライアウトで、二人はどんな言葉を交わしたんだろうか。

HTML5で「不毛な服選び」は終わりにしたい

HTML5W3C勧告になったそうで。

勧告になったから急にどうだということにはならないでしょうが、僕はHTML5によってWebブラウザが動画も音声通信もオフラインWebもなんでもアリになり、全部がWebブラウザに収束していって「OSに取って代わるのでは」という流れには賛成です。

というのも、システム実装には本当に様々なアプローチがあって、その選択の巧拙が開発生産性や保守性、ユーザビリティに大きく影響を与えるにも関わらず、(エンタープライズITの)ユーザーにとっては、「なんでもいいけど早く決めてよ」という世界でしかないのでは?ということを最近実感しているからです。

方式設計は奥さんの服選び

大事な人との約束があって、今すぐ出発しないと約束の時刻に間に合わないという時に、奥さんが「やっぱり今日はこっちの服にする!」「そしたら帽子はこっちの方が合うし、アクセサリーも…」と始まってしまったら「なんでもいいけど早くして」と僕は思ってしまいます。ファッションとかあんまり関心ないので。
迷っているその服とその服はさして変わらないように見えるし、帽子に至っては脱げばいいじゃん、みたいな。分からない人間にとっては、迷っている時間はコストでしかない。ノーバリュー。

ユーザーから見ると方式設計も似たようなもので、こちらがどんなに真剣に語ったところで、ユーザー側(特にマネジメント層)には大抵どうでもいい話なんですよね。
だったら、全てをWebブラウザ上で賄う世界に振り切っちゃった方が、少なくとも今よりは選択にかける時間が少なくて良いのかも、なんて思います。たとえそれがITコンサルやSIer地盤沈下につながったとしても。

支えてるって何さ


この記事、IT業界の事情をあんまり知らない人をミスリードさせる可能性が高いと思います。
「アジア系が支えてる」って、そりゃあ今だにエンジニアの単価水準が全然違うのだから、たくさん人がいる製造工程をアジアにオフショアしていれば、人数比率が高くなるのは当然。
単価の話をせずにこのグラフを見せたら、「アジア系のITエンジニアはすごく優秀なんだ!」って思う人が相当数いると思います。
労働人口では80.6%と圧倒的な存在の白人に伍して、アジア系エンジニアが活躍している背景には言及がありません。
って分析を避けてますけど、数字だけ引用して読み方をガイドしないのは、片手落ちもいいところ。
大事なのは「何人いるか」ではなくてそこで「どんな役割を担っているか」ではないでしょうか。それを以って初めて「支えている」というタイトルが適切か検証すべきなのでは、と思います。
「自社の多様性を知ろう」という元データの趣旨を劣化させミスリードを誘い、「アジア系は(白人系より)優秀」みたいな偏った考え方を助長しかねないこの記事には憤りを感じます!!

マネージド・クラウドは誰得なのか

残念ながら行けなかった「AWS Summit Tokyo 2014」の講演資料(http://aws.amazon.
com/jp/summit2014-report/?id=mktgmail)や当日のWeb記事を貪り見ている今日この
頃です。
それにしても、相変わらず、クラウドに関する話題は多いですよね。ここ最近で自分が気になったニュースは、例えばAWSの成長鈍化?とか米国政府と米マイクロソフトの係争とか。

AWSの成長鈍化は本当か?
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/346926/080100027/

米国企業が運営するクラウドでは、犯罪捜査を理由に米国外データセンターのデータを米国政府が閲覧できるか? 米国政府と米マイクロソフトが係争中
 http://www.publickey1.jp/blog/14/post_244.html

クラウド(ここでは以下IaaSに限定)も他の話題に漏れず、情報の断片はありますが、じゃあ総じて今どんな感じで、この先どこに向かおうとしているのか?ということを把握するのはなかなか難しい。ですが、かの「publickey」で個人的にす
ごくヒットして、腑に落ちた解説がされていたのでシェアします。

ヒューレット・パッカードが低価格のマネージド仮想プライベートクラウド「HP Helion Managed VPC Lean」を発表
http://www.publickey1.jp/blog/14/hp_helion_managed_vpc_lean17000.html

つまりIaaSは二極化していて、AWS・MS・GoogleIBMの四強(一強三弱?)は巨大なエコシステムを形成しつつ、規模拡大と価格競争の真っ最中。一方、四強以外のベンダーは「マネージド・クラウド」という名の自社運用サービスで差別化を図っている、でも自社だけじゃとてもスケールできないからどうするかが課題である、と。
素晴らしい。これ以上ないくらい分かりやすい。「なんでマネージド・クラウドなるものが出てきたのだろう?」と不思議に思っていた自分としては、超納得です。

それにしても、マネージド・クラウドってニーズあるのかな?ユーザー側からすれば、運用アウトソーシングと何ら変わらぬブラックボックスが残るだろうし、結局ベンダーがお守りする基盤がオンプレかクラウドかという違いだけなのではないかと。
直感的には一体誰得なのかが分かりづらいなあ。自分なりに考えてみよう。

まず、エンタープライズITを取り巻く技術要素の「主流」がクラウドに移行すると、相対的にオンプレが割高になることが考えられます。(例えばH/WはFacebookのOpen Compute Projectのような取組みが広がり、ベンダー製は数が出ず量産効果が薄れるので高止まりする)
そこで、積極的にクラウドに移行したいわけではないけど「止むを得ずクラウド」というユーザー企業にとっては、マネージド・クラウドのような「ベンダーにおまかせ」的サービスはありがたい。つまり、今後ぞくぞくと発生するレイトマジョリティの受け皿として有効なのかも、というのが僕の仮説。

…そんなサービスに無駄なおカネかけるぐらいなら、試行錯誤しながらもユーザー企業が直接AWS使えるようになるほうがよっぽどいいんじゃないかなあ、とは思いますけど。

「習近平の統一戦線」の感想


習近平の「統一戦線」(津上俊哉) - BLOGOS(ブロゴス)


おそらく結論は「既得権益と戦っている」でさほど目新しくはない。

ただその既得権が非常に大きいのと、行き着くと現体制の否定に繋がりかねないから難易度が高い。

ただこの人は文革で父親が失脚し、自身も苦労している。今という時期、そしてこの人を得て改革ができないようなことがあれば、かつての易姓革命に似た騒乱が起きても不思議ではないのではないか。

そうならないことを願っているけど…

IT Japan の受講証で経営とITの現在位置を知る

IT Japan 2014

明日始まる日○BP社のセミナーに申込んでみました。ユーザーさんの先進事例が聴きたいなと思いまして。
しかし、Webの申込み完了後送られてきたメールに「受講証を郵送する」旨の文言が。

今どき郵送?

事務局が郵送なんてしなくても、受講者にプリントアウトさせればいいのでは?あるいは、メールにQRコードでも貼っておいて、それを受付で照合させるとかすれば良いのに。
何のため?と思いましたが、送られてきた受講証を見て納得しました。

地図付き

カラープリントされた会場までの地図がついている(最寄駅から5分の距離ですが)。
そうか。
このセミナーは、普段地図アプリを使わないような、QRコードと言われてもピンと来ないような、そういう人をケアしているのだ。そういう人が聴きに来る場なのだ。Webサイトを読み返してみた。

「日本の経営とITのこれから」を存分に吸収できる,またとない3日間です。

経営とIT。
現在位置は、行っていないけど半分くらい分かった気がする。どうやら、僕の期待していた内容とはちがうみたい。申し込んだ意味はあった。明日は、PJワークに専念することにします。

意思のないSE、真摯ですらないPM

開設にあたり

ソフトウェアハウスでPGからキャリアスタートして、10年あまりエンタープライズITに携って来ました。途中インフラっぽいことをやったり、オフショアをやったりしつつ、今はコンサルです。
主な関心はエンタープライズIT、特にシステム保守・運用(ITIL、DevOps)、内製化。他に自動車業界、野球、日中関係等々。
今はあるお客様で、国内大手SIerと対峙しつつ上流を進めているところです。そこで発注者・受注者双方の「変わらない在りよう」を改めて感じたのが開設のきっかけです。いきおい愚痴っぽくなるかもしれませんが(笑)、それも何とかしたい、現状を変えたいという気持ちの現れとご理解いただければと思います。

意思を感じないSE

上述の大手SIer、SEは真面目な方が大半と思います。優秀だなと感じる方もいます。これはエンジニア出身の自分のひいき目もあるかもしれませんが。
残念なのは、「このお客様のシステムはこうあるべき」「こう変えるべき」という思いを感じないこと。もっと言えば、「作りたいもの」がないように見えてしまう。
長く客先常駐をした結果、当初の熱がすっかり失われて、自分の領域を回すことに汲々としてしまう、というのは僕も心当たりがあります。しかし敢えて言えば、優秀なSEがいれば僕らコンサルなんていらないはず。(ちなみに堀江さんは
意思がなければ、結局いい仕事はできないのでは?と僕は思います。お客様に流されるまま、PMに言われるがままでは、SEの価値は毀損されていくだけです。

真摯さを忘れたPM

上記SEを束ねるはずのPMはもっと酷い状況と思います。PJでやろうとしていることの背景や意図を理解していないのか、する気がないのか。言動を見ても数値を見ても、自社のことしか頭にないのでは?と疑いたくなります。そのような状況でSEの方に指示を出すので、見当違いな結論が出てしまう。仕方がないので、僕のようなコンサルが直接現場SEの方と話し、軌道修正することもしばしばです。
本当は、社内の問題としてSEの方に異を唱えてほしいのですが。
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たとえ結論は間違っていたとしても「こんな技術を使うべきだ」「こういう実装の方が絶対にお客様の役に立つ」そういう意思を持って仕事を続けることが、きっとどこかで実を結ぶと僕は信じています。SEの奮起に期待。